村上春樹とロマンロラン

最近「アンダーグラウンド」と「約束された場所で」それと、「風の歌を聴け」を読んだ。驚いたのは処女作で現在までの小説のテーマが既にほぼ出尽くしていたことだ。ほぼ同じテーマで37年間書き続けている、、、、(手法は違えているが)

「アンダーグラウンド」と「約束された場所で」も鼠や直子が自殺する「システム」の追求の文脈に入れることができると思う。もちろん「1Q84」には「アンダーグラウンド」と「約束された場所で」は引き継がれている(というか、動機になっている。)

これからも他の作品を読み続けていきたいと思う。今、「風の歌を聴け」に出てくるメンターのデレク・ハートフィールドが 唯一認める小説として挙げている「ジャン・クリストフ」を読んでいる。

高校2年の時一度読み通してはいるのですが、今回読み直してみてほとんど覚えていなかった。(読んではいなかったということ?)

ロマンロランは固有名詞にならない「流れ」や面影といった不確かなものや音楽表現がうまいと思いながら読んでいる。

例えば以下のように。

音楽家の心にとっては、すべてが音楽である。震れ揺らぎはためくすべてのもの、照りわたった夏の日、風の吹く夜、流れる光、星の閃めき、暴風雨、小鳥の歌、虫の羽音、樹々の静寂の中に動脈を膨らます血液の音_____すべて存在するものは音楽である。問題はそれを聞くと言うことにのみにある。存在するもののかかる音楽は、ことごとくクリストフのうちに鳴り響いていた。彼が見るものすべて、彼が感ずるものすべて、音楽に変わっていた。彼はあたかも騒々しい蜂の巣のようであった。しかし誰もそれに気づかなかった。彼自身も気づかなかった。

1968読書会

ボブ・ディランやPPMが反戦歌を歌いストーンズだって「黒くぬれ」でベトナム反戦のメッセージを送ったが、中学生だったぼくは歌詞を理解できなかった。政治は街頭デモが鮮烈だったけれど、文化革命というより大きな文脈で語られ、政治に無関心な人もその時代の雰囲気に呑まれていた。大学をドロップアウトして日雇い労働者になったり、ヒッピーになって一生幻想を彷徨い続ける詩人たちもいたんだ、今では信じられないけれどね。

0コメント

  • 1000 / 1000